tomosoelog

コーポレート部門やバックオフィスのキャリアの話を中心に。専門は人事労務です。

人事労務やバックオフィス業務の価値とは? このニュースを読んであなたは何を想像しますか?

先週末、関東ITソフトウェア健保からこのような内容が発表されました。

www.its-kenpo.or.jp

 

このたび被扶養者認定業務の運用を下記の通り見直します。原則、「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」に伴う情報連携により後日確認ができる書類については被扶養者(異動)届提出時点の添付は省略いたします。

皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

  1. 変更開始日
    • 平成29年8月1日受付分より
    • (※7月31日受付分までは従来通りの取り扱いとなります。)

 

協会けんぽ以外の健康保険組合の多くは、扶養家族の追加をする際は収入要件に該当していることを証明する書類の提出を求めています。家族に収入がない(なくなった)場合は、退職を証明するものや課税(非課税)証明書、アルバイトなどで収入が少しある場合は直近の給与明細書などの提出が必要です。

今回のニュースとこれまで必要だったことを照らし合わせると、いくつか疑問や想像できることがあります。さて、あなたはどんな想像をしますか? 

私は5点気になりました。 

 

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気になった5つのポイント

1.マイナンバー制度に伴う情報連携。健保組合はなんの情報を得るんだろう。

マイナンバー制度の説明の中に「社会保障・税制度の効率性と透明性を高め」というのがあります。また、関東ITSのページにもこのような内容があります。

各機関(地方公共団体)への課税情報等の照会を行います。

 「等」が気になりますね、、、おそらく「課税(非課税)証明書」の内容を照会するんだろうなと想像します。しかし、「等」とありますので、それだけではないのではとも想像します。

 

2. 確認の時期について 

確認時期は認定(暦年ごと)された翌年の6月以降(前年の住民税課税情報更新月)を予定 

なんだか難しい言葉となっていますが、例えば1月〜12月に扶養認定をされた人たちは、翌年の6月以降に各地方公共団体に課税状況の確認をすると言っています。なるほどー。遡ってあとから確認していく方式をとるんですね。

 

3. 収入あり→なし(減少)となって扶養とする場合はどうなるんだろう 

健康保険の扶養の収入要件は「年間収入が130万円未満(対象者が60歳以上である場合、または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害がある人は180万円未満)」という要件があります。注意したいのはこの「年間」というのは1月〜12月というわけではなく、「被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間見込収入額」なんです。つまり、例えば

  • 今年の6月までバリバリ働いていたので6末時点で今年の収入額はすでに250万くらいある。
  • 退職し収入がなくなるので、7月から配偶者の扶養に入りたい。

これ、OKなんです。退職後の7月からの1年間が130万未満となればOK。(なお、所得税の扶養は1月〜12月で見るので、この年の税法上の扶養要件は該当しません)

ただ、来年の6月に確認ができる課税証明書の内容は年額の金額しかわからない。それが6月までの収入であるかどうかって課税証明書だけではわからないはずなんです。おっと、もしかして給与支払報告書とも照合するのかな!? これが「等」か!? そこまでやるってことなのか!?

 

4. (予想)個人事業主の確定申告書・健保組合からの給付金も連動するのでは!?

これまでもチェックが厳しい健保組合の中には、非課税証明書では実態がわからないので、確定申告書の提出を必須としているところがありました。この運用がマイナンバー連動によって統一されようとしているんでしょうか。。

傷病手当金も同様ですね。傷病手当金は非課税なので、もらっているかどうかがわかりずらかったと思います。これもマイナンバー連動によってわかってしまいそうです。

これが行われるのかはあくまでも不明なので詳細は控えますが、社会保険の収入要件って「給与所得『等』の収入がある場合、月額108,333円以下」なんです。個人事業主の場合、これが非課税証明書ではわからなくなってしまうので、確定申告書と連動するのかなあ。引き続きウォッチしていきます。

 

 

5.扶養資格が無効とされたらいつから無効になるのか?

次の年の6月以降にならないと「実は扶養要件には該当していなかった。」ということがわからない状態となります。無効と認定された日からなのか、遡って無効とされるのか。後者だったらキツイですよね・・・。

 

必要なのは従業員にどういうインパクトがあるのか想像し、情報提供できるようにしておくこと。

 詳細は7月中旬に関東ITSのページでお知らせがされるとのことですが、こういったお知らせが出たときに、「従業員にどういうインパクトがあるのか」という視点で考えられると、人事労務やバックオフィス業務の価値を示すことができるし、本来のライフワークのサポートにもなる。業務の本質って従業員や会社と向き合うことでもあると思っているので、細かいポイントも抑えておくことは、信頼度アップにもつながると思います。

 

ちなみに、新様式の現況票も7月中旬に公開、8月から運用開始・・・いや・・・あの・・・できるだけ早く対応しますが、、、ご了承ください。