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コーポレート部門やバックオフィスのキャリアの話を中心に。専門は人事労務です。

「バックオフィス業務」のキャリアの作り方。広く業務をやっている人が習得しておきたい3つの力

ほぼ日のCFO篠田さんが、一年前のこの記事をシェアされて思わず書かずにいられませんでした。 

自分のキャリアの作り方。何歳までに何をやるべきか。 | Books&Apps

 

目次

 

私の28歳、34歳、40歳の節目

バックオフィスの道を歩んできた私の場合。

 

「精神論ではない、これは統計だ」の通り、きれいに合致(笑)

財務経理や法務など、専門職としてではなく、総務・人事・経理・営業サポートなど、会社のバックオフィス業務と言われることを1人や少人数で広くやっている人、いると思います。 

20代の私もそうでした。広く浅く、いろんなことを経験させてもらっていました。しかし、途中で「広く浅く」だけを続けていてはこの先アブナイということ気が付かされることがありました。同じようにバックオフィス業務のこの先のキャリアについて悩んでいる方に向けて私の経験を書いておこうと思います。

 

 

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1. 「仕事を理解する力」でたくさんの業務を遂行

私は新卒ではまったく別の仕事をしていたので、オフィス業務は25歳でデビューなんです。そんな私を採用してくれたのはいわゆるベンチャー企業だったので、手厚いフォローや研修などもありません。

パソコンで仕事をすることも初めてで、メールのCCやBCCの意味も、エクセルの使い方も全然わからない状態でのスタート。当初はできなさすぎて、初めて「胃が痛い」という経験をしたものでした。

自分で仕事を憶えていくしかなく、たくさん送られてくるメールを研究したり、上司が作るエクセルの関数を解読しまくったり。そんなことをしていたらエクセル関数大好き人間になっていて、営業の数字の集計も難なくできるように。

そんな風に仕事を憶える姿勢や成長がわかりやすかったのか、どんどん仕事を依頼してもらえるようになりました。当初「総務」で採用してもらっていたはずなのに、自社セミナーの企画や司会・広報もやるようになっていました。

腹落ちしていないと大量の業務はこなせない

たくさんの業務を同時進行させていた当時を振り返って、この力がついた!と胸を張って言えるのは、「その業務の本質や必要性」を常に考えて仕事をすることができるようになったことでしょうか。どんどん業務が増えていくので、それらがきちんと自分の中で”腹落ち”できていないと「精神的にやり切れない」という事情もあったんだと思います。

キラキラした職種の方からすると地味に見える作業やルーティン業務も、「この仕事はどういうものなのか? なぜ必要なのか?」を常に考える意識が根付いたのはとても良い結果を生み出してくれました。

「仕事を理解する」って当たり前だとは思いますが、膨大な量を一人でこなすベンチャーバックオフィスは、理解をしないまま「こなしている」ということがあるので、とても重要だと思っています。

 

2. 重要な「立ち回り力」。でもそれだけじゃダメ。

ベンチャー企業のバックオフィス担当に一番求められることって、なんだと思いますか? 私は「立ち回り力」だと思います。たくさんの業務をこなしたり、従業員を仕切る力だったり、どれだけうまく立ち回れるかが重要で必要だったりする。今でもそうだと思っています。

しかし、違う側面で厳しい言い方でその状況を言い表すと、その場をしのいでいるだけになっているかもしれない

「立ち回り力」に自信があってもそれだけで別の会社に転職したところで、すぐには何もできません。即戦力ではないんです。そしてまた”その場をしのぐちゃん”を繰り返すだけ。20代のしのぐちゃんは可愛げがあるかもですが、35歳のしのぐちゃんはなかなか厳しい。。

立ち回り力は重要です。でもそれだけじゃダメ。立ち回るための裏付けが必要です。それに気づいた私は数年後にそれまでいた会社を卒業し、自分のキャリアを見つめ直したのでした。

 

3. 概要やロジックを抑えて専門知識化を。 

バックオフィス業務にも「専門知識」は必要です。しかし、資格を取ろう!という話をするわけではありません。概要やロジックをしっかり抑えておくだけで、世界が広がります。

概要やロジックが必要とされるシーン

シーン1:契約書チェック

例えば、契約書チェックを弁護士さんに依頼するとします。多くの方が丸投げしてはいないでしょうか。契約書って難しい言葉で難しい内容が書かれているというイメージがありますが、たくさんの契約書を読んでみると構成や内容は大きく変わらないことが見えてきます。契約相手によってその中の内容が少しずつ変わっているだけといっても過言ではないと思います(大げさな言い方ですが)。

損害賠償の内容に納得できるか、守秘義務が双務なのかそうでないのか、利権がどうなるのかなど、実はそんなに難しい内容ではないことも多いです。何が書かれているのかも知らずに弁護士さんにチェックをお願いしても、チェックバックの内容が理解できなければ弁護士さんや社内、そして社外の方と議論ができません。

 

シーン2:給与計算

給与計算を社労士や代行会社に依頼しているとします。作業をするのは外部かもしれませんが、どのような計算が行なわれているのかを知っていないと、その内容をチェックすることができません。従業員から問い合わせが合った場合に何も答えられない時間が発生します。

厳しい従業員の目に負けない知識を得る

私はとても運がよかったようで、こういた業務遂行のための専門知識の習得の素地を34歳頃までに作ることができました。それまでの立ち回り力や仕事を理解する力に、概要やロジックといった専門知識を加えることができたのは大きかった。

転職先がとにかく従業員が給与や社保のことに詳しい・チェックが厳しいという環境だったので、存分に活かすこともできました。社内のイントラに情報が日常的に流れていることもあって、疑問があれば部署の電話が鳴ります。

 

  • 「給与変わってないのに社会保険料が増えてる。なんで?」
  • 「前回の賞与額と大きく変わってないのに所得税メッチャ増えてる。なんで?」

 

こういった質問が日常的に寄せられます。その会社では給与計算はアウトソースしていましたが、任せっきりなんてことはありません。給与計算ロジックがどうなっているのかや、社会保険の仕組みを理解していないと仕事になりません。

 

概要やロジックはどうやって学ぶのか?

単純です。業務で使っているものを読みましょう。わからないことがあれば調べましょう。

会社にある契約書、たくさん読むと見えてくるものがあります。税理士さんが作成した決算書、きちんと読んだことありますか? 給与明細、どうしてその金額になっているか知っていますか?

突然資格の学校に行ったり、おもむろに本を買ったりする必要はありません。まずは業務で使っているものも読みましょう。これをやるだけで大きく変わります。そして自分がわからないことを知ることが重要です。それをやった上で体系的に学びたいと思えば本を読んだり、セミナーや勉強会に行ったり、資格の学校に行ったりと選択肢が増えます。

 

まとめ

広く複数の業務をやっている人が習得しておきたい3つの力

  1. 仕事を理解する力
  2. 立ち回り力
  3. 概要やロジックを抑える力

バックオフィスは庶務屋さんではありません。専門職とできるかどうかは本人次第!

 

「40歳を過ぎたら、50歳までの10年間。これが最も楽しい時間だ。ここまで積み上げてきたのなら、君には専門分野も、人脈もあるだろう。好きなことをすれば良い。体力、気力、知力、経験ともに最も充実しているのが、40歳から50歳だ。」

 

おかげさまで、まさに体現しています。

 

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